こんにちは。山下智巳です。
看護師さんたちは今も昔も、とても追い詰められています。
twitterを見ていますと、
何で看護師なんか目指したんだろ。行きたくなくて泣いてる。仕事ってみんなこんなもの?看護師向いてないし労働向いてない死にたい
— 病棟爆破ちゃん (@murimuri_nurse) September 18, 2021
消えたい、死にたい
でも死に方によって迷惑かけるし、親に高い金払ってもらってここまで成長させてもらったのに死んだら親不孝極まりないから死ねない。
きっつ、、。消えたいわ。
— みかん🍊@新人看護師 辞めたい💉 (@vhPxeV0hXP8TYbr) September 17, 2021
早く死にたいなあ、それか勇気が有れば仕事辞めて、頻コールや不潔な仕事や看護師がやらなくても良い仕事をやらなくてもいい環境に行きたい、本当に看護師になんてならなきゃよかった
— 待合室 (@umi_to_hoshi) September 22, 2021
等と、看護師さんたちが激務やら人間関係やらで消耗し自身の人生すら放棄してしまいたくなっている現状が垣間見られます。
コロナ感染症も収束の兆しが見えない中、彼らは本当に追い詰められているのです。
ただでさえ、前時代的でタテ社会で体育会系でクソ辛くなりがちな職場なのに…
人の役に立ちたいとか社会貢献とかそういう思いで医療の世界に飛び込んだ若者たちが、「死にたい」思いを抱えているのはとても気の毒なことです。
そこで今回は、そんな荒んだ、辛い状況にある看護師さんたちを救う糸口を探すシリーズとして本を読んでみました。
その本は「人生は苦である、でも死んではいけない」(著者:岸見一郎)。
結果から言うと、この本によって今の仕事の辛さがなくなることは無く、追い詰められた看護師さんをが即救われることはないでしょう。
紹介しておいてすみません。
ただし、人生そのものの見方について新たな知見を得ることができます。
今回はこの本をご紹介いたします。
「人生は苦である、でも死んではいけない」とは
「人生は苦である、でも死んではいけない」とは、岸見一郎氏が著した本です。
岸見一郎氏は、アドラー心理学を分かりやすく解説しベストセラーになった「嫌われる勇気」を書いたお方です。
岸見一郎氏は著作もたくさんあり、現代の哲学者として「成功」しているように見えました(この書き方は岸見氏は喜ばないでしょう)。
「人生は苦である、でも死んではいけない」の内容
「人生は苦である、でも死んではいけない」の内容は、ざっくり言うと「生きている今、この瞬間が幸せなのである」というもの。
何かを達成することや、有用であることや、成功は幸せではない。
また、役に立つとか、お金が稼げるとか、効率が良いとか、そういったことに価値基準を置くことは危険である。
役に立つことばかりを優先すると、本当に楽しい事や、いろんな喜びを逃してしまう。と著者は説いています。
また、老いようが、病気になろうが、自分の「変化」は進んでいて、それは決して「退化」ではない。
生きていること自体誰かの役に立っているのだ、とも主張しています。
「人生は苦である、でも死んではいけない」は荒んだ看護師を救えるか
この本「人生は苦である、でも死んではいけない」は、荒んだ看護師を救ってくれるのでしょうか?
私は「否」だと思います。
筆者は、「役に立つこと」や「お金を稼ぐこと」など、一般的な「成功」とは違うところに幸せの基準を置くように主張しています(「これをしていて楽しいな」とか)。
ところが、今の社会ではそういった生き方はとても難しいでしょう。
やっていて楽しいことがすべてお金稼ぎにつながるとは思えません。
そして生活の維持に必要なお金を稼ぐには、「有用な人間として、組織の役に立つ」ことの方が手っ取り早いのです。
この社会の枠組みを外れた生き方の方が、よっぽどいばらの道です。
将来の保証もなく、不安も大きいです。
(ちなみに著者は「老後に備えない生き方」という本も著しています。
お金が稼げなくて将来心配かもしれないけど、そもそも将来に備えるな、と。
どんだけ厭世的な生き様なんだよwww)
病棟勤務で、お局からの理不尽ないびりや、自分の想像していた看護師像とは違う働き方(激務)を強いられて、生きる希望を失っている看護師さんたちに、筆者の主張はまさに観念論でしょう。
「それができたら誰も苦労しないんじゃ!!」という声が聞こえてきそう…
とはいえ、冒頭の
「親は子が生まれた時は無条件に喜ぶが、次第にいろいろなことを期待する」
「他者の期待が満たせないと、罪悪感を持つ人が出てくる」
という指摘は胸に刺さるものがあります。
実際、「実用を離れて、真の幸せを求めよう」というのも本当は人生の本質を語っていますし、その他にも筆者の主張は考えさせられる部分が多くありました。
この本は、今荒んでいる看護師さんや、仕事や人生に悩む私たちをすぐに救ってくれるものではありませんが、人生のとらえ方のヒントをくれる本ではあります。
まとめ
岸見一郎氏の著作「人生は苦である、でも死んではいけない」は、荒み追い詰められた看護師さん達を救えないというのが私の考えです。
有用さを求めるなかれ、というのが著者の主張ですが、この本の内容は皮肉なことに、目の前の激務に立ちむかう看護師さんにはまさしく有用でなく、机上の○論であるという印象です。
しかし、「有用」「お金稼ぎ」「効率」が幸せを生むという価値観を離れた幸せについて、考えるきっかけは与えてくれます。
その幸せを追い求めることは、大多数の人にとって難しいことだけれど。
哲学は、何も便利にはしてくれないので、役に立たない、有用でない学問とされがちですが、生きるヒントをくれるので面白いです。
現代の価値基準にとらわれない幸せを考えてみたい方にはおすすめです。
ちなみに、職場での人間関係に苦しんでいるなら↓この本が爆裂におすすめ。
この本は、人間関係の悩み「なぜあの人は攻撃してくるのか?」「どうしたら攻撃されなくなるのか?」を教えてくれます。
↓こちらの記事で紹介しているので気になる方はどうぞ。

以上、山下智巳でした。
看護師のお仕事でこんなことが気になる、こういう内容の記事を書いてほしいなどのご意見があれば、ツイッターまたはお問い合わせフォームからご連絡ください。
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